九州住環境研究会

No.110 EVと住宅のホットな関係!
太陽光発電などの再生可能エネルギーを最大限に活かす、簡易的なEV電気自動車の活用。
「電気自動車」を家庭用蓄電池として使用するV2Hの時代が始まっています!

2019年5月27日更新


電気自動車と家庭が繋がるV2Hとは、どんなシステム?

中国・ヨーロッパを筆頭に世界的なEV(電気自動車)の普及が、本格化しています。
COP21(パリ協定)以来、国際的に火力発電の抑制、再生可能エネルギーへのシフトが始まっています。この流れはもはや止めることが出来ない流れになっています。PV(太陽光発電)の本格的な普及は、安価な蓄電池の開発抜きには、発展しないと言われてきましたが、ヨーロッパにおける中古のEVバッテリーの活用がこの問題に新たな回答を与え始めています。
我が国でも、コンデンサーメーカーの「ニチコン」がV2H(EVパワー・ステーション)を本年5月に発売しました。三菱の「スマートV2H」は、太陽光発電から自動車に給電出来る画期的なシステムですが、まだ価格的に高額です。「ニチコン」のV2Hは、日産のリーフ専用のV2Hですが、価格的には58万円という手が届くV2Hとして登場しました。
V2Hとは、EVの大容量バッテリーから電力を取り出し、分電盤を通じて家庭の電力として使用できる仕組みのことです。V2Hの使い方は、割安な深夜電力をEVに充電し、日中はEVのバッテリーに蓄えた電力を家庭へ給電するシステムで、PVからEVに直接給電出来るシステムではありませんが今後に繋がる過度期のシステムです。

2019年11月から始まる太陽光発電買取終了に向けて。

2009年に始まったFIT(買い取り制度)は本年11月で満了が始まります。当初48円/1kwhという買い取り価格は、現在、昭和シェル石油が自社販売する電力プランを契約することを条件に、余剰電力を8.5円/kwh(九州エリアのみ7.5円)で買い取る方針を打ち出していますが、これが今のところ買い取り価格の上限ではないかと予想されています。
卸電力価格は基本的にLNG発電の燃料費と相関すると考えられ、2019年11月から2027年度にかけて大量の太陽光発電が、高価格での買取期間を終えます。特に卒FITが発生し始める本年から「EVto Home」が注目を集める事になりますが、今まで通りの九電への売電は、昭和シェル以下になると予想されています。

V2Hは太陽光発電の有効活用にも最適な選択です。

PVへの電力利用は出来なくてもEVの蓄積電力を住宅で活用する事で、夜間にEVの大容量バッテリーに蓄えた電力を日中家庭に給電することで、住宅用太陽光発電で発電した、より多くの電力を電力会社に買い取って貰うことも期待出来ます。
これから新たにPVを導入する家庭にとっては売電するよりも自家消費を増やして電気代を節約する方がメリットは大きくなりますが、現在のシステムでは図・2の系統連結型V2Hの三菱の「スマートV2H」の導入しか、EVを直接活用する方法はありません。図・1の非系統連結型V2Hの場合は、PVを売電専用として設置し、深夜電力をEVに蓄電して日中活用しますが、それでも蓄電のメリットは非常に大きくなります。
「ニチコン」のV2Hは、本年1月のプレス発表では、三菱の「スマートV2H」に比較するとほぼ、三分の一以下の40万円弱という価格設定でしたが、発売日が延びている間に価格も上昇しましたが、EVを大容量の家庭用蓄電池に活用出来る点は、評価に値する価格設定です。トヨタやホンダも本年度中には対応するV2Hを開発中ということで、本年中に対応V2Hが発売されるようです。

■非系統連結型V2Hシステム (株)ニチコン 図1



■系統連結型V2Hシステム 図2

中古EVの活用で電力消費の効率を図る。

「ニチコン」のV2Hは、日産の「リーフ」専用機といえどもEV+HOMEが簡単に、安く繋がる画期的な技術開発であることに違いはありません。
格安の蓄電池が開発されるまでは充分に評価できる技術で、使用するEVも、新車である必要は無く、中古車で充分である事も魅力的です。中古EVでも蓄電池能力は、EVを走らせるためにはパワー不足になっていても、家庭用蓄電池の代わりには、全く問題なく働いてくれるようです。

■日産「リーフ」給電風景。

EVの給電ステーションは、現在ではほとんど不便を感じない程度に普及しています。

最新のEVは、満電(満タン)で通常400〜600kmも走行可能になっていますが、初期発売の「リーフ」は、200kmくらいでした。
中古の初期販売車の場合も、150km程度は走るようですから、セカンドカーとして近所を走る程度の役割と蓄電池として考えれば、現在でも5kWや10kWの蓄電池でもかなり高額であることから、EVに搭載されている30KW以上の蓄電能力はかなり魅力的です。V2Hは、まだ無理と考えている方も、家庭用のEV用コンセントは3万円程度で購入できますから、深夜電力で自動車を満電にし、太陽光発電の売電量を多くすることは可能です。航続距離の長い新型車の登場で、中古「リーフ」は価格暴落中とのことです。蓄電池かわりに購買するチャンスかも知れません。
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