九州住環境研究会

No.58 高性能だから使えるエアコン暖冷房?
エアコン暖房は高性能住宅の特権、特に気密性能が悪い住宅にはお勧め出来ません!
最も効率的な省エネルギー暖冷房はエアコン暖冷房です!

2014年10月31日更新


暖房装置を選択するならエアコンも選択肢に。

「エアコンで暖房するなんて電気料をドブに捨てる様なもの。」今までの認識でしたら、これは全く正しいと思います。
昔もセントラルヒーティングで天井にエアコンを設置して暖冷房を行った経験のある方もいらっしゃることと思いますが、そんな経験のある方は確かに電気料をドブに捨ててしまったのでした。 その原因は住宅性能の悪さでした。特に断熱・気密性能に問題が有り、開口部もまた、単板ガラスにアルミサッシですから全く、エアコンの暖気は床まで届きませんでした。
現在でもエアコンは夏向きという考え方から天井に近い方に設置されるので、暖気が床に届いていない例が沢山あります。 これは、住宅の気密性能に大きな関係があります。エアコンの熱は湿気を含まないので非常に軽く、すぐに天井の方に吹き上がってしまいます。 天井の隙間から小屋裏にどんどん暖かさが逃げて行き、それと共に気密性能が悪い床の隙間から冷気を引っ張り込んでしまいます。
これがエアコンは暖房に向かないという理由になっていました。

寒冷地用ヒートポンプでマイナス25℃でも大丈夫。

最近では寒冷地専用のエアコン暖房も増えてきました。但しエアコン暖房を導入する場合は、少なくとも【次世代省エネルギー基準】温熱環境等級4が必要です。 くれぐれもこれ以上の性能で施工できる施工店に依頼することが大切です。低炭素住宅や長期優良住宅であれば、それらの基準をクリアしていますから、エアコン暖房で充分、省エネで暮らすことが可能になります。
電気料金の目安は、40坪だと一日300円以下、月額1万5000円が上限で活用方法に慣れて来ると1万円程度で生活している方もいます。

エアコン暖房は乾燥するから嫌だという方も?

これもよく聞く話ですが、エアコンを運転しても室内の水分量に変化はありませんが、湿度計の湿度は相対湿度ですから、室内の温度が上がると相対的に湿度は下がります。
しかし室内の水分量は同じです。「石油ストーブやガスストーブの場合は、むしろ湿度が上がるのにエアコンは下がるじゃないか?それが水分量が同じだなんて理屈に合わない。」 と考えていらっしゃる方もいるでしょうが、石油やガスストーブの場合は室内で焚いた石油やガスの量以上に水分を室内にまき散らします。 それも綺麗な水分ではなく煤などの混じった汚れた水分として排出されるのです。だから除湿器が必要になります。

除湿器が必要か加湿器が必要かで住宅性能が判る。

現代の高性能住宅は、ほとんど第3種換気か第1種換気装置を装備しています。また、暖房装置は気密性が高くなると石油やガスのファンヒーターは禁止されます。
石油ストーブはFFストーブ(室内空気を使わず排気も室外に)だけが認められます。電気ストーブ類や床暖房は蓄熱式ストーブはエアコンと同じように室内の乾燥を感じます。これらはエアコンと同類だからです。
しかしこれらの電気式暖房機器類は室内の空気を汚すことはありません。乾燥しない石油ファンヒーターを6畳間で30分つけただけで二酸化炭素濃度が5000PPMに達してしまいます。 ビル管理法という空気質のPPM量を定めた法律では、上限が1000PPMですから5倍もオーバーしてしまいます。ファンヒーターには30分毎に窓を開けて換気するようにと書かれていますが、 実際に実行している方はほとんどいないでしょう。
受験勉強をしている子供達がこの様な環境に置かれているとしたら悲劇です。眠気は誘発するし、健康上にも問題が有ります。 窓は結露でびっしょり、サッシはカビだらけ、従って除湿が必要な環境は、問題山積の住宅と言うことになります。住宅は、むしろ加湿器を必要とする住宅の方が優れています。
少なくとも加湿器で自分が好む湿度調整が出来ますし、排気ガスの心配は一切ないからです。

エアコンは使い方次第で最も有効な空調設備です。

エアコンは、室外機から暖気を室内に運ぶと思っている方もいますが、エアコンは室内機で熱交換するだけで一切外気を室内に入れません。 エアコンの吹き出し口は扇風機の羽根のように室内空気を送風するだけです。
従って電熱器と同じように空気を汚すことはありません。温度が上がるから湿度が足りなく感じるだけです。例えば蓄熱式ストーブが1馬力だとするとエアコンは5馬力ぐらい働きます。
だからエアコン暖房をお勧めします。故障してもエアコンならば10万円以下で買えます。どうしても乾燥が気になるならば加湿器で自分の好みの湿度で生活可能です。ただし60%以上にはなるべくしない方が無難です。