九州住環境研究会

No.77 電力自由化開始から3ヶ月経過した現状は?
自由化前の電気料と比較すると平均1万8千円安くなると言う電気料金の仕組みと実態。
ガスと電気を併用している場合は、来年4月から始まるガスの自由化も選択肢に!

2016年7月25日更新


電力自由化後、3ヶ月の現状と課題。

電力自由化の開始から3カ月が経ちましたが、電力会社の切り替え申請件数は121万8700件と、4月1日の開始時点に比べ約2.3倍に増加しました。総契約数に占める新電力(PPS)の比率は約1.9%です。電力自由化開始前の2016年3月31日までに切り替え申請をした件数は51万1300件。直近の6月末時点での切り替え申請は121万8700件です。この3カ月の間に、約2.4倍に増加したことになります。この3カ月、電力会社の切り替えをけん引してきたのは、消費者の多い東京電力エリアと関西電力エリアの2大都市圏で、切り替え申請件数全体に占める比率は、東京電力エリアが約61%、関西電力エリアが約21%と、この2つのエリアで8割を占めます。鹿児島県の場合も新電力への切り替えは微々たるもので、その理由は、新電力の仕組みそのものが理解されていないという現状があるようです。実際に新電力に切り替えた場合の効果は、電気代が平均1万8千円安くなっています。夏は使用量が多く電気代が高くなる季節ですが、冬はもっと高くなります。もし電気代の節約を考えているなら、電力会社の切り替えを検討してみるのも一考です。

電力会社の切り替えにお金が掛かるの?

基本的にお金は掛かりません。ただ、スマートメーターが設置されていることが基本になります。この新型メーターを取付けることによって、人が検針しなくても電力の使用量の検針や契約アンペア数の変更が新メーターの通信機能で遠隔地から可能になります。スマートメーターの管理は、九州電力(旧一般電気事業者)が行うため、交換を自分で申し込む必要も交換費用を支払う必要もありません。現在、順次新メータに変更され2020年には全家庭に設置予定です。

どんな新電力を選んだら良いのか?

新電力の電力会社は通信・放送・鉄道関係、都市ガス、石油関係などがあり、登録事業者も拡大しています。経済産業省の発表では、登録事業者(旧一般電気事業者も含む)は310社(6月16日時点)もあります。その中で、首都圏で選ばれている電力会社は、東京ガス、大阪ガスの燃料系の新電力です。これは同じ燃料系ということで、電気料金とガス料金の割引などのプラン設定に魅力があって人気があるようです。電気とガスを併用している家庭が多いと言うことで、ガス会社が選択されていますが、平成29年4月からはガスの自由化が始まりますから、ガス併用であれば既存の九州電力を選択しておくのも選択肢の一つになります。それは、我が国で最もガスを輸入しているのは、ガス会社よりも電力会社で、ガスの自由化により電力会社もガスの販売が可能になるからです。発送電の分離と同じようにガス管の分離も始まり、既存の電力会社がガス販売に参入できるようになるからです。新電力の開始と共に、九州電力も新プランで対抗してきますから、そうしたプランも選択肢にしておく必要があります。

鹿児島県の電力・エネルギー事情について。

鹿児島県の平均月額電気料は、8204円(年間98、453円)第13位、ガス料金は、4938円(年間59、265円)第26位、灯油料(年間5079円)第9位です。人口や産業構造に応じたものですが、県内の臨海部には原子力発電所と火力発電所があり、県内各地は比較的小規模の水力発電所が点在、さらに地熱発電所もあり、九州でも有数のエネルギー基地です。近年は風力発電施設の建設も多く、2015年3月末現在の風力発電装置の設置基数は155基(発電容量、25.5万kWh)と北海道、青森県に次いで3番目です。太陽光発電は「鹿屋大崎ソーラーヒルズ太陽光発電所」(9.2万kW)や「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」(7.0万kW)といったメガソーラーの設置も相次ぎ、再生可能エネルギーの固定価格買取制度がスタートした2012年7月以降に新たに認定されたメガソーラーの件数は41、132件で茨城県に次いで全国で2番目、認定総量は406.64万kWで3番目の規模です。

九州電力、エリアで選べる新電力プランの例。

九州電力エリアで選択できる電力会社は、16社ありますが、参入する企業母体でサービスにも特長があります。

●携帯電話セット割引プラン
◇auでんき(KDDI)
 でんきM・Lの2プラン。
●ガスセット割引プラン
◇西部ガス株式会社
 ガス+電気プラン1・2の2プラン(各種ポイント有り)
◇長崎地域電力株式会社
 ガス+ファミリープラン、ガス+ビジネスの2プラン。
●再生エネルギー比率が高い
◇(株)エコシステム
 じぶん電気プランA・Bの2プラン。
●電気料金が安いプラン
◇(株)新出光
 イデックス電気、ファミリープラン30A・40Aの2プラン。
◇HTBエナジー
 たのしいでんき九州めんたいこ従量電灯B5
●インターネットセット割引プラン
◇ジェイコム
 J:COM家庭用コース従量B・Cの2プラン
●ポイントがたまるプラン
◇ナンワエナジー
 スタンダードM30A・40A・50A・60A・L・オール電化の6プラン(Tポイント還元)
◇楽天
 まちでんきスタンダード・プレミアムの2プラン。
◇ヤマダ電気
 従量電灯B・Cの2プラン
●電力構成、公開プラン
◇九州電力
 従量電灯B・C、時間帯別電灯・ピークシフト電灯・季節別電灯・スマートファミリープラン・スマートビジネスプランの7プラン。
 

以上16社の内、11社がプランを公開して売電事業を行っています。インターネット上で簡単にシミュレーションが可能ですから、是非一度、チャレンジしてみてください。多くの皆様が気にしているのは、解約は可能かと言うことですが、仕組みはケータイ電話の契約と同じだと思ってください。解約は可能ですが、プランの中には、1年程度の縛りがあり、その間の解約で違約金が発生する場合がありますから、契約時に疑問点は聞いておくことです。解約しても器具の取り替えなどは一切ありませんから、比較的、簡単に解約も可能な場合が多いようです。シミュレーションで現在の生活スタイルに合った電力会社をお選びください。