建築・住宅の制度改正のスケジュールと内容。

改正省エネ法【エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律】

大規模な建築物の省エネ措置届出義務の範囲を拡大するとともに、特定住宅の省エネルギー性能を強化するところを目的とする。

改正概要

  1. 大規模な建築物の省エネ措置が著しく不十分である場合の命令の導入
  2. 一定の中小規模の建築物について、省エネ措置の届出等を義務付け
  3. 登録建築物調査機関による省エネ措置の維持保全状況に関わる調査の制度化
  4. 住宅を建築し販売する住宅供給事業者(住宅事業建築主)に対し、その新築する特定住宅の省エネ性能の向上を促す措置の導入
  5. 建築物の設計、施工を行うものに対し、省エネ性能の向上及び当該性能の表示に関する国土大臣の指導・助言
  6. 建築物の販売又は賃貸の事業を行う者に対し、省エネ性能の表示による一般消費者への情報提供の努力義務を明示

スケジュール

【平成21年4月施行】
「住宅事業建築主の判断基準」の策定(詳細は下記基本性能項目参照) 年間に一定戸数(150棟)の特定住宅(建売戸建住宅)を新築する住宅事業建築主に対し、1年間に供給する特定住宅の一次消費エネルギー消費量の届出と目標水準の達成が課せられる
【平成22年4月施行】
→2000m2以上を第1種特定建築物とし、指示・命令に従わない場合は、公表、命令(罰則)
→300以上2000m2以下を第2種特定建築物とし、省エネ措置の届出が必要。省エネ措置が著しく不十分な場合は勧告

省エネルギー判断基準の改正

届出義務の拡大に対して、的確に円滑に実施されるよう、省エネルギー性能の要求水準を変えることなく、省エネルギー判断基準の明確化・簡素化を行う。

  1. 夏季日射有効利用に関わる基準の簡素化
  2. 開口部の日射遮蔽措置の簡易算出方式導入
  3. 換気量の確保に関わる規定の削除
  4. 気密性の確保に係る定量的基準の削除
  5. 市町村名変更等に伴う地域区分一覧表修正
  6. 断熱構造化を要しない部分の追加等
  7. 開口部の断熱構造化に係る規定の合理化
  8. 開口部の日射遮蔽措置仕様一覧表の簡素化
  9. 詳細な仕様規定の合理化
  10. 気密層の施工にかかわる基準の削除

住宅事業建築主の判断の基準

  1. 住宅の外壁等の断熱性能に加えて、建築設備の効率性についても総合的に評価するため、一次エネルギー消費量に着目した基準を設定する。
  2. 建築設備とは、空気調和設備その他の機械換気設備、照明設備、給湯設備を対象。
  3. 1年間に一定の戸数(150棟)以上の特定住宅(建売戸建住宅)を新築する住宅事業建築主に対し、1年間に供給する特定住宅の一次エネルギー消費量の平均値が目標水準を下回ることを求める。
  4. 後から持ち込まれる家電機器については対象外とする。
  5. 太陽光発電の効果についても考慮する。
  6. 断熱性能は平成11年基準に適合するように努めなければならない。
  7. 現行の省エネ基準に相当する断熱性能に、更に高効率給湯器を導入することで、現行の断熱基準住宅と比べ、概ね10%以上の削減に相当する。

長期優良住宅普及促進法

「つくっては壊す」これまでの新築偏重の住宅政策から、超長期に渡って循環利用できる「超長期住宅」をべースとするストック中心の住宅政策への転換を促す。

目的

長期に渡り良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅の普及を促進するため、国土交通大臣が策定する基本方針について定めるとともに、所轄行政庁による長期優良住宅建築等計画(仮称)認定制度及び当該認定に関わる住宅の性能の表示によりその流通を促進する制度の創設等の措置を講ずる

法案内容(案)

  1. 長期優良住宅の普及の促進に関する基本的な方針
  2. 国、地方公共団体、事業者の努力義務
  3. 長期優良住宅の認定

長期優良住宅の認定

認定の基本性能(詳細は下記基本性能項目参照)
○一定以上の住宅の性能
(耐久、耐震、可変、維持保全の容易性等)→性能表示の活用が活発化!
○維持保全に関する計画の作成
具体的内容
○供給の促進
  • 税額負担の抑制(登録税、取得税、固定資産税)
  • 超長期住宅先導的モデル事業(予算130億円)
  • 超長期住宅ローン(35年→50年)
○点検、補修、交換等の促進
○流通の促進
○記録の作成、保存
  • 住宅履歴書の活用

基本性能

  1. 構造躯体の耐久性→劣化対策等級3
  2. 住宅の耐震性→耐震等級等級2以上
  3. 内装・設備の維持管理の容易性→維持管理等級3
  4. 変化に対応できる空間の確保→スケルトンインフィル
  5. 長期に利用される躯体において対応しておくべき性能省エネルギー性能の確保→温熱環境等級4
  6. 将来におけるバリアフリー対応の性能確保→高齢者等への配慮等級3以上
  7. 計画的な維持保全→住宅履歴書

※スケルトンインフィル:建物を構造体と内装・設備に分けて設計する考え方のこと。

性能表示

○性能表示の活用
長期優良住宅には性能評価の措置と証明が不可欠となります。予め性能評価を見据えた仕様つくりが大切となります。
○性能表示の活用
  • フラット35Sの活用
  • NEDO助成制度(新築)での活用
  • 超長期住宅先導的モデル事業での活用

性能表示対応が大切です

住宅の省エネ改修促進税制

平成20年4月1日?12月31日に一定の省エネ改修工事を含む増改築等工事を行った場合、住宅ローン残高の所得税税額控除を行う。

目的

地球温暖化対策の一環で、住宅の断熱化の促進が喫緊の課題。断熱化の推進にあたり、4,700万戸既存住宅の省エネ改修が最大の課題となっている!

省エネ工事

  1. 居室の全ての窓
  2. 天井・屋根(1.と併用)
  3. 床の1つ以上に該当する改修工事
    • 改修を行う部位が現行省エネ基準以上
    • 改修後の省エネ性能が、一段階相当上がる

税制内容1

所得税額の特別控除
  • 省エネ改修工事に係わる借入金→年末ローン残高の2%を5年間税額控除
  • 省エネ改修工事以外の借入金→年末ローン残高の1%を5年間税額控除

税制内容2

固定資産税額

住宅ローンの所得税額控除とは別に、平成20年4月1日〜22年3月31日の間に一定(30万円以上)の省エネ改修工事を含む増改築等工事を行った場合、翌年度分の固定資産税額を1/3減額する。

【新しい開口部仕様の制定】(本税制に限る)

プラスチック枠+低放射複層ガラス(ガス入)で、窓U値=1.9W/m2K

NEDO助成制度【住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業】

経済産業省の外郭団体、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)による助成制度。

目的

エネルギー消費の3割を占める民生部門の省エネ対策として、省エネ性の高いシステムを導入し、住宅における省エネを推し進めること!

事業内容

□新築住宅
一次消費エネルギーベースで、標準エネルギー量と比べ25%程度削減 性能表示「省エネ対策等級4」取得が必要
□既築住宅(リフォーム)
住宅の改修する部分が、過去1年間の一次消費エネルギー量と比べ25%程度削減開口部のみの改修でも活用できる!

助成内容

NEDOシステムを住宅に採用する場合に、その省エネ対策費用の一部(1/3)を助成する

※20年度予算:19億円

※1件当り助成額:150万円前後

スケジュール

□平成20年度公募スケジュール

公募説明会 2月5日〜2月8日

第1次公募 2月5日〜3月6日

第1次予約者の決定 4月30日

第2次公募 6月上旬予定→中止(予算を大幅に上回ることにより第2次を中止)

追加公募 11月13日〜12月12日(補正予算成立に伴い追加公募が決定)

フラット35S【優良住宅取得支援制度】

フラット35を活用するとき、省エネルギー性、耐震性などに優れた住宅を取得する場合、借入金利を優遇する制度

フラット35

フラット35は民間金融機関と住宅支援機構が提携して提供している長期固定金利住宅ローン。 融資を利用する場合、住宅の断熱・耐久性などについて独自の技術基準を定め、物件検査を行い住宅の質の確保を図っています。

フラット35S

フラット35をお申し込みの方が、省エネルギー性などに優れた住宅を取得される場合、「借入金利」を優遇する制度

35S適用条件

安心実現のための緊急総合対策により、平成20年10月1日から【優遇金利を受けるための条件】が変わりました!

注意

今回の措置は、平成20年度の【フラット35】Sに関わるものです。

現時点において、来年度以降の【フラット35】Sは、1つ以上の基準を満たす住宅に適用されるかどうかも含めて未確定です。

超長期住宅先導的モデル事業

「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」というストック社会のあり方に、具体の内容をモデルの形で広く国民に提示し、技術進展の貢献と共に普及啓発を図る。

目的

超長期住宅の普及・推進のため、先導的な材料・技術・システム等が導入されるなどの超長期住宅にふさわしい提案を有し、超長期住宅の普及啓発に寄与するモデル事業、超長期住宅に関する評価・広報、超長期住宅実現のための技術基盤強化に対して助成を行う

募集概要

○補助対象
調査設計計画費用、建設工事費、システム整備・技術検証費用、情報提供普及費用
○補助対象者
建築主、維持管理流通を整備する者
○補助率
民間事業者に対し最大200万円
  • 比較設計方式の2/3以内の額
  • 建設費の1割以内の額

モデル事業

○新築
基本性能の確保+先導的な提案+公開等普及寄与
(基本性能→性能表示の最高等級をイメージ)
○既存住宅の改修・維持管理、展示場
先導的な提案+公開等普及寄与

スケジュール等

○事業期間
平成20年度から24年度に着手するもの
○平成20年度スケジュール
4月 募集要項の公表
4月11日〜5月12日 第1回募集受付
7月7日 交付先の決定
8月 第2回募集
1月 第3回募集(予定)

省CO2先導的モデル事業

「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」というストック社会のあり方に、 具体の内容をモデルの形で広く国民に提示し、技術進展の貢献と共に普及啓発を図る。

目的

家庭部門・業務部門のCO2排出量が増加傾向にある中、住宅建築物における省CO2対策を強力に推進し、 住宅建築物の市場価値を高めるとともに、居住・生産環境の向上を図るため、省CO2実現性に優れたリーディングプロジェクトを募集し、整備費等の一部に補助をする

募集概要

○補助対象
設計費、建設工事費、先導的なシステム整備に要する費用、技術の検証費、諸経費
○補助対象者
建築主、建築主と一体・連携して省CO2技術を導入するもの
○補助率
民間事業者に対し1/2

スケジュール等

○事業期間
平成20年度から24年度に着手するもの
○平成20年度スケジュール
4月 募集要項の公表
4月11日〜5月12日 第1回募集受付
6月 交付先の決定
8月1日 第2回募集
1月 第3回募集(予定)

住宅瑕疵担保履行法【特定住宅瑕疵担保責任の履行確保等に関する法律】

新築住宅の売主・建設業者は、平成12年の住宅品質確保促進法施行に伴う 「瑕疵担保責任」を全うするための資力確保が義務付けられた。

目的

平成12年4月1日に消費者保護を目的とした「品確法」が交付。 新築引渡しから10年間の瑕疵担保責任の義務化となった。 しかしその10年の間に売主が倒産すると保障を受けることが困難となる。 そのような背景化平成17年に交付!

保障の範囲

□構造耐力上主要な部分
住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧、又は地震その他の震動若しくは衝撃を支える部分
□雨水の浸入を防止する部分
外壁・屋根、それらの開口部の戸・わく・その他建具、外壁・屋根の内部又は屋内の排水管

品質確保促進法

  • 瑕疵担保責任制度(義務)
  • 日本住宅性能表示制度(任意)
  • 紛争処理機関の創設。

資力確保の義務

供託若しくは保険のいづれかを選択

  • 供託 過去10年間の住宅供給戸数に応じた供託額
  • 保険 住宅瑕疵担保責任保険法人による保険証券

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