九州住環境研究会

ハイブリッド・エコ・ハートQ

「ハイブリッド・エコ・ハートQ」と一般工法。

一般在来、2×4と「ハイブリッド・エコ・ハートQ」の断熱施工方法の違い。
「ハイブリッド・エコ・ハートQ」は外断熱+内断熱のW断熱工法。

ハイブリッドの名前のように外断熱と内断熱のダブル断熱工法が高性能化の要になっています。断熱材は水に強いスチレン系断熱材を採用し、更に高性能を追求する場合には、スチレン系断熱材の最高品質「ラムダ」を採用します。主に天井断熱を採用し天井断熱もスチレン系断熱材を採用しています。基本的に床断熱を使用し、お施主様のご希望や用途によっては、基礎断熱も行っています。壁・天井に採用されるスチレン断熱材には、遮熱面材を施工し低ます。壁面断熱の構成は、構造用面材の無機質素材のダイライトの上に外断熱のスチレンを施工し、柱間には内断熱のスチレンが施工されます。断熱性能と共に高い気密性能が生まれます。


一般在来・2×4工法の内断熱工法。
一般在来・2×4工法の内断熱工法。

一般在来工法や2×4工法で多く採用される断熱工法は、グラスウール・ロックウール等の繊維系断熱材を使用する内断熱工法です。
繊維系断熱材は、水を吸うという特長があるために、室内面に防湿フィルム等で完璧に防湿対策を採らないと壁体内結露を引き起こす危険性があります。


一般在来・2×4工法の外断熱工法。
一般在来・2×4工法の外断熱工法。

スチレンやウレタンボードなどのプラスチック系を利用し、屋根や壁、土台、床下までボード状断熱材でスッポリ覆う工法です。
この工法の特徴は、小屋裏を利用することが可能な工法で、断熱材も水を吸わない断熱材を使用するため、一般的な内断熱工法よりも有利な点もあります。特に出隅・入り隅の少ない北方型の住宅には有利です。
欠点としては、断熱材の上に外壁材を施工するために、重さで断熱材がはがれて、気密性を損なったり、構造躯体が弱いと、地震などの横揺れで、断熱材同士がぶつかりあってお互いにつぶしあい、復元性がないので断熱材と断熱材の間に隙間が出来てしまう危険性があります。

主な化学系断熱材
主に一般住宅用の断熱材のとして使用される物は、押出法ポリスチレン、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームの3種類で、ビーズ法ポリスチレンフォームは主にRC構造に使用されます。総合的な成績係数で押出法ポリスチレンを採用しています。
■熱伝導率による断熱材のランク分類
断熱材の
ランク
熱伝導率λ
(W/m・K)
材 料 名 熱伝導率 密度
(kg/m3
規 格 等
A-1 0.052~0.051 吹込み用グラスウール(施工密度13K、18K) 0.025以下 約13・18
A級インシュレーションボード(9mm) 0.051以下 9
シージングボード(9mm) 0.051以下 9
A-2 0.050~0.046 住宅用グラスウール断熱材 10K相当 0.050以下 約10
吹込み用ロックウール断熱材 25K 0.047以下 約25
B 0.045~0.041 住宅用グラスウール断熱材 16K相当 0.045以下 約16
住宅用グラスウール断熱材 20K相当 0.042以下 約20
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板4号 0.043以下
A種ポリスチレンフォーム保温板1種2号 0.042以下
C 0.040〜0.035 住宅用グラスウール断熱材 24K相当 0.038以下 約24 JIS A9521-2003
住宅用グラスウール断熱材 32K相当 0.036以下 約32 JIS A9521-2003
高性能グラスウール断熱材 16K相当 0.038以下 約16 JIS A9521-2003
高性能グラスウール断熱材 24K相当 0.036以下 約24 JIS A9521-2003
高性能グラスウール断熱材 32K相当 0.035以下 約32 JIS A9521-2003
吹込用グラスウール断熱材 30K、35K相当 0.040以下 約32、約35 JIS A9523-2003
住宅用ロックウール断熱材(マット) 0.038以下 30〜50 JIS A9521-2003
ロックウール断熱材(フェルト) 0.038以下 30〜70 JIS A9521-2003
ロックウール断熱材(ボード) 0.036以下 40〜100 JIS A9521-2003
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板1号 0.036以下 30以上 JIS A9511-2006R
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板2号 0.037以下 25以上 JIS A9511-2006R
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板3号 0.040以下 20以上 JIS A9511-2006R
A種押出法ポリスチレンフォーム保温板1種 0.040以下 20以上 JIS A9511-2006R
建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種3 0.040以下 JIS A9526-2006
A種ポリエチレンフォーム保温板2種 0.038以下 20以上 JIS A9511-2006R
A種フェノールフォーム保温板2種1号 0.036以下 45以上 JIS A9511-2006R
A種フェノールフォーム保温板3種1号 0.035以下 13以上 JIS A9511-2006R
A種フェノールフォーム保温板3種2号 0.035以下 13以上 JIS A9511-2006R
吹込用セルローズファイバー断熱材25K 0.040以下 25以上 JIS A9523-2003
吹込用セルローズファイバー断熱材45K、55K 0.040以下 45K、55K以上 JIS A9523-2003
吹込用ロックウール断熱材 65K相当 0.039以下 60以上 JIS A9523-2003
D 0.034〜0.029 高性能グラスウール断熱材 40K相当 0.034以下 約40 JIS A9521-2003
高性能グラスウール断熱材 48K相当 0.033以下 約48 JIS A9521-2003
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板特号 0.034以下 27以上 JIS A9511-2006R
A種押出法ポリスチレンフォーム保温板2種 0.034以下 25以上 JIS A9511-2006R
A種硬質ウレタンフォーム保温板1種 0.029以下 35以上 JIS A9511-2006R
建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種1 0.034以下 JIS A9526-2006
建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種2 0.034以下 JIS A9526-2006
A種ポリエチレンフォーム保温板3種 0.034以下 10以上 JIS A9511-2006R
A種フェノールフォーム保温板2種2号 0.034以下 35以上 JIS A9511-2006R
E 0.028〜0.023 A種押出法ポリスチレンフォーム保温板3種 0.028以下 25以上 JIS A9511-2006R
A種硬質ウレタンフォーム保温板2種1号 0.023以下 35以上 JIS A9511-2006R
A種硬質ウレタンフォーム保温板2種2号 0.024以下 25以上 JIS A9511-2006R
A種硬質ウレタンフォーム保温板2種3号 0.027以下 35以上 JIS A9511-2006R
A種硬質ウレタンフォーム保温板2種4号 0.028以下 25以上 JIS A9511-2006R
B種硬質ウレタンフォーム保温板1種1号 0.024以下 35以上 JIS A9511-2006R
B種硬質ウレタンフォーム保温板1種2号 0.025以下 25以上 JIS A9511-2006R
B種硬質ウレタンフォーム保温板2種1号 0.023以下 35以上 JIS A9511-2006R
B種硬質ウレタンフォーム保温板2種2号 0.024以下 25以上 JIS A9511-2006R
建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームB種1 0.026以下 25以上 JIS A9526-2006
建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームB種2 0.026以下 25以上 JIS A9526-2006
A種フェノールフォーム保温板2種3号 0.028以下 25以上 JIS A9511-2006R
F 0.022以下 A種フェノールフォーム保温板1種1号 0.022以下 45以上 JIS A9511-2006R
A種フェノールフォーム保温板1種2号 0.022以下 25以上 JIS A9511-2006R
高性能硬質ウレタンフォーム保温板2種2号 0.021以下 32以上 JIS A1412-2

この表は、断熱普及促進連絡会議に加盟する、各団体の物性値表から主だったものをまとめたものです。 2007年11月 出典:断熱普及促進連絡会議

断熱建材の基礎知識
無機繊維系断熱材
●グラスウール
ガラスを繊維にして綿状に加工した断熱材です。厚さや密度が高くなるほど断熱性能に優れ、軽くて使いやすい断熱材です。無機質なので燃えずガスも発生しません。防音性能や耐久性にも優れています。欠点は、水を吸う性質があることですが、水を吸わない撥水グラスウールも開発されています。
●ロックウール
溶鉱炉から出る鉄屑や耐熱性に優れた鉱物を高温で溶かし、ごく細い繊維状にした断熱材で650℃以上の熱にも耐え、有毒ガスも発生しません。撥水性・耐久性があり防音性にも優れています。水を吸う性質もありま せん。
発泡プラスチック系断熱材
●ポリエチレンフォーム
細かな独立気泡で発泡された、耐吸湿・耐吸水性の高い断熱建材です。柔軟性に富んでいて様々な形状の製品があり、現場ではすき間なく施工することができます。
●フェノールフォーム
独立気泡の断熱建材です。素材の安定性が高く、長期間にわたって優れた断熱性能を発揮します。130℃までの使用に耐える耐熱性で、防火性にも優れています。炎があたっても炭化するだけで煙や有毒ガスはほとんどなく難燃性を持ったウレタン系断熱材の最高級品です。
●押出法ポリスチレンフォーム
断熱性に優れているため、薄くても断熱効果が高く、施工後の重量も軽くすることができます。水に強く、耐吸湿性があるため、基礎や土間床の断熱にも使用することができます。
その他の断熱材
断熱ランクA1-2は、ボード類など断熱性能も有する素材です。Aの断熱材は、主に防音等、副次的に使用されることが多い断熱材です。密度・規格等に関しましては、製品に記載がありませんでした。現在では、このほかにも羊毛やペットボトル再繊維品・土壁など様々な断熱材が認められています。自然素材など様々な利点を強調しているものもありますが、今まで断熱材として実績のある製品を選択した方が無難であることに間違いはありません。
間違った断熱施工による不都合

断熱材の施工法を間違えると結露が発生してしまうことについてはすでに述べましたが、 断熱材は厚ければ厚いほど良いというものでもありません。例えば、グラスウール断熱材などで、 冬に断熱材に蓄熱された熱があるとすると、過度に断熱施工している場合には、 なかなかその熱が抜けないということがあります。 更に物質には、人間を含めて遠赤外線を放出する性質があります。 断熱材の中にはその放出量が多いものもあります。したがって冬は暖かくて快適だけれど、 夏暑いという現象が生まれてきます。断熱材の量は、あまり厚すぎてもいけません。 例えば、春先の少し寒いときにはカーディガンで充分なのに 厚手のコートを着ると逆に不快になるのと同じ現象が起こります。 断熱材は適度に、自然の輻射熱や対流が気持ちの良い温熱状況を作り出すような程度の断熱材で充分なのです。 過ぎたるは及ばざるが如し。

躯体の強さと断熱材の施工には、大きな関係があることを先に述べましたが、 建築当初は高い性能であるとしても、経年変化で住宅の断熱性能が低下する住宅では、意味がありません。 特に台風や地震などで、住宅はいつも揺らされることを想定して下さい。 揺れに強い確かな構造を持つ住宅でなければ、断熱性能も気密性能もすぐに落ちてしまいます。 「ハイブリッド・エコ・ハートQ」では、このようなことから開発思想の一つに高耐震をうたっています。 揺れても充分なクリアランス(隙間)を設け、そこが気密不良にならないように工夫した 「断熱壁パネル」を採用し、高耐久性構造躯体と高断熱・気密性能「断熱壁パネル」の融合で、 理想的な住環境をお約束いたします。